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2013年12月 1日 (日)

糖尿病治療に使用するインスリンについて_②

先日、製薬メーカーからの訪問者があり、かなりの知識をお持ちの方であるにも拘らず、インスリンの実体についてご存知ないことがあり、愕然としました。
インスリンが一般の細胞に対して必須のペプチド系成長因子である、ということをです。
私の記憶違いだろうか?と思い直して、インターネット検索してみました。日本組織培養学会のページと思われる記事が掲載されていました。
http://jtca.umin.jp/koza/09.html

1.ヒト正常気管支上皮細胞の培養について
ヒト正常気管支上皮細胞を使った実験を行っています。培養のメーカー推奨プロ
トコールとして、ハイドロコーチゾンやトランスフェリンやインスリン、レチノ
イン、トリヨードサイロニンなどの添加物があるのですが、サイトカインの発現
を確認する実験系では、それらの影響を考慮する必要性はありますでしょうか。
その影響があるのであれば、最小限にするためにコンフルエントになったら他の
medium(例えばDMEMなど) に変更すべきでしょうか

⇒ おそらく試薬メーカーが輸入・代理販売している製品と存じますので、詳細
  については把握できませんが、培地がケラチノサイトの培養に汎用される(と
  思われる)無血清培地であることを前提に回答いたします。また、申し訳あ
  りませんが、この回答にもとづく結果については責任は持てません。また、
  販売元メーカーにも回答は難しいと思われます。
  無血清培地での培養の場合、トランスフェリンとインシュリンは必須と思わ
  れます
おそらくこれらを除いての日単位での培養の維持はできません。
  時間程度の短時間でしたら、細胞が全滅してしまうことはおそらくありませ
  ん。

以上のような詳細な内容が専門家同士で語られているのです!

コスモメディウム株式会社の製品説明にも記載があります。http://www.cosmobio.co.jp/product/detail/00760004.asp?entry_id=1243

ヒト正常繊維芽細胞の良好な体外増殖に適した合成培地です。
塩類、アミノ酸、ビタミン、糖質、微量金属元素等の基本培地成分をヒト正常繊維芽細胞の体外増殖にファインチューニングしました。
増殖因子としてヒト組換え型インスリンと上皮成長因子(EGF)を含み、無血清培地でありながら、従来の血清含有培地に匹敵する増殖性能を示します(図1)。また、複数回の継代培養も可能です(図2)。

私は、患者さんには、インスリンに関してのノーベル賞受賞が多数に上っていることを挙げて、生命維持にどんなに大事なホルモンであるのか説明しています。特に、インスリンの構造決定に成功したサンガー博士がノーベル化学賞を受賞したことについて強調して説明しております。
事実、HbA1cという検査数値5.5%とインスリン以外の薬で糖尿病のコントロールが十分にされていると考えられる患者さんが、顔色悪く全身倦怠感を訴えて来院され、インスリン治療に切り替えてから諸症状が全て改善したケースもあります。
肝臓における代謝には糖・脂肪・核酸・蛋白などに関する代謝が行われ、その中心となる代謝が糖代謝であることを考えれば、糖代謝を司るインスリンが無ければ、肝臓の代謝全般が停滞してしまうことは自明です。先の患者さんは、インスリン不足で肝臓そのものの働きを損なっていたと考えられます。そもそもインスリンは体内の膵臓から毎日40単位程度は分泌されているといわれますので、糖尿病患者は足らない分を注射などで補充する必要があります。
以上のように、生存に必須であるインスリンについての知識を与えられずに糖尿病を悪化させている患者さんが、まだまだおられることは悲惨なことです。

フレデリック・サンガー博士が、今年11月19日に95歳でお亡くなりなっていた、という共同通信の記事を目にしました。ご冥福をお祈りします。

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